6.27&28 銀座と吉祥寺
6.27 銀座 ギャラリーなつか 岡本光弘「Irs・惑星の徴」/資生堂ギャラリー ヘルシンキ・スクール写真展/メゾン・エルメス 名和晃平「L_B_S」
6.28 吉祥寺 Ongoing 市川健治 「花と夢」
土日で見たものをざっと取り上げます。
行った順番から。
まずギャラリーなつかで行われた岡本さんの個展。
彼とはAITのアーティストコースで知り合った方。
終了して以降、同じくこのAITアーティストコースで知り合った作家の方と声を掛け合って毎月月末あたりに勉強会を行っているのだが、その際にはよく参加してくれている縁もあり、今回の機会の個展へ足を運んだ。
彼はコンピューターグラフィックを用いてSF的世界観を描く方なのだが、今回の展示で見た作品はこれまでのよりも抽象的な要素―色の波―が加わっている分、すこし戸惑いを感じた。作家本人がこれまでのいろいろな刺激をどのように消化して具体的に作品へと展開していこうかという迷いが、今思い返すと全体から感じられたような。
この現実から受けた刺激をどのように処理し、作品として落とし込むか、というところは5月に参加したSICFでも思ったことだが、難しい。欲をそぎ落とすことと同時に、やってきたことを踏み越えるというような人間性が結局問われていくように思える。
次に銀座に行ったらひとまず行ってみることにしている資生堂ギャラリーへ。
たまたまこの日から始まった写真展、ヘルシンキ・スクール展がやっていた。
その題名からただの学生展なのかとも思ってしまったが、「ヘルシンキ・スクール(ヘルシンキ派)とは、ヘルシンキ芸術デザイン大学の教育課程から導き出されたアプローチや考え方を継承する教師、学生、卒業生たちのグループを名づけたもの(HPより引用)」だそうだ。
階段を下りた受付前の踊り場に、Susanna Majuri(スサンナ・マユリ)の赤い服の女性が半身海に浸かりながら歩く後ろ姿を撮った写真が印象的に飾られている。展示方法にこの4名の実力や知名度を反映させたような気もするが、いずれも北欧的イメージを裏切らずにをすんなりと受け入れて表現してくれる色彩感覚と物語性はどの作家にも共通しているような。
特に印象的だったのは、Tiina Itkonen(ティーナ・イトコネン)の写真群。グリーンランドの氷河やその土地住む原住民たち、住む家々。遥か彼方へと続く幻想的な山々に囲まれ、目の前には巨大な氷河が浮かんでいる。そんな巨視的な風景の中に、この土地で暮らす人々の小さな美しい家、そして十字架の群れ。生と死が生活となり、この地上に現れていることが幻想的にいとおしく感じられる一枚に出会えてよかった。
次にメゾン・エルメスでの名和晃平「L_B_S」展。
すでに入口ドアマンや1Fのフロアーを通り過ぎるのには慣れた。ここでの展示はいつもハズレがないので、新しい展示が行われることがいつもとても楽しみ。
今回はアートフェア―では常に見かけていた、日本人若手作家の名和晃平による展示。
作品は主に3つに分かれていた。うち1つはアートフェア―でも見かけることの多かったアクリル球を、鹿のはく製をつかったんだろうか、こいつに貼り付けた作品。今までは小さな物をアクリル球で包んだ作品を見かけていたが、これだけ大きいものになるとさすがに量感もじっくり、じわりじわり。このエルメスの建物とあまりにもマッチしすぎ。でもいやらしさはない。次の一つはネットで拾ったというおもちゃに樹脂を吹き付けて制作された作品群。そのディティールと、この吹き付けられた樹脂の膨らみによる形の変容がものの見事にこの作家の個性になっている。3つ目は少し離れたスペースに展開する、グリッド状に並べられた気泡が機械的に延々と「プカッ、パンッ」を繰り返すブラックボックス。こうした作品は頭が空っぽになってついつい気泡を見とられてしまうなー。その分忘れやすいかも。
翌日曜日、吉祥寺のOngoingで行われている展示、市川健治 「花と夢」をみる。
エロ本を素材にピクセルのような正四角形に切り取り張ってイメージを作っていくという作品群。その肌色に染まった画面に、同じエロ本からとってきたのだろう―赤や青、白といった色の素材(があったもんだとも思う)によって花が現れる。エロ本という素材からだろうか、そうしたものが全盛期であっただろう時代にこうした作品が出ていれば面白いんだろうなー。今エロ本ってどうなのか知らないが。
ともあれ量感によってその物の素材が発するイメージや主体性を全く違ったものに変えるということはよく使われる手法かも。そこから出てくる感覚は、そのモチーフとともにこの作家独自の世界があるように感じられるが、あまりにも花なら花で、そのモチーフがきれいに作られすぎているような気もした。花弁のエッジのラインとか、よく揃えたな―って思うぐらい揃ってるし。
とまぁそんな土日でした。って明後日スペイン行かないと。準備やばいよねー。。(最近そんなのばっかり)
見に来てくれてありがとう!「どのように消化して具体的に作品へと展開していこうかという迷いが…」そうそう…私はあがいてます!迷ってます!成長期の不恰好さもひとつの通過点と信じてこれからも続けていくぞーっと自分に気合!